路上演奏での出会い〜その4〜 詩人・大野弘紀

「どうして詩を書いているんですか?」と聞いた後で、「返答詩集、て書いてあったから、どういうことなのかなって、思って」とさっきの本を手に取る。
「ブログにコメントが来るんです。それに返答の詩を返すんですね、だから、返答詩」と語ったあとで、思い出して「きっかけは、生きることが苦しくて死にたいって、読者からコメントが来て。その時自分にできるのは、詩を書くことしかないって、この人に、今必要な言葉を与えないと、この人は死んじゃうかもしれないって思って、それで無我夢中で詩を書いたら、その人は生きていきますって、言ってくれて、そこから返答詩が始まったんですけど」そこで一区切りして、「返答詩って、読み手がいて、コメントが来て、詩を返す、という過程があって。
その手応えって、詩を書く理由っていうか、読者と繋がっている感覚を大事にしたいって思って、詩を書いているんです」と一息で語って、あ、語りすぎたかな、と思ったけど、「その感覚、すごくわかります」とゆっくり頷いてくれた。
ひとりきり話すと、その人は「もしこの出会いがなかったら今日死んでたかもしれない」と言った。
「もしよかったら」と僕は詩集を差し出す。
「旅のお供にこの言葉たちを連れて行ってやってください。あなたの心に光が灯せるように」その人は鞄に詩集をしまうと、手を差し出す。
「ぜひ、生きて、また会いましょう」と握手をして、僕たちは別れた。

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