さいたま市は、将来的な岩槻人形博物館(仮称)の開館に向けて魅力ある事業を安定的に行うため、浅原革世氏の人形コレクションを購入した。担当者によれば、浅原氏のコレクションは江戸時代から昭和初期にかけてのおよそ800体もの日本人形からなる。個人収集のコレクションだが、過去に横浜そごう美術館や茨城県立歴史博物館などの大規模な施設で公開されてきた。江戸時代に確立した雛祭りの文化的背景を伺うことができる貴重なコレクションで、なかでも、人間国宝である故・平田郷陽氏(1903〜1981)の創作人形は注目されるひとつだ。これまでさいたま市の収蔵品は、日本画家であり人形の研究家でもあった故・西澤笛畝氏(1889〜1965)のコレクション、約4000点が主なものだった。日本人形に限らず、東南アジアを中心とした人形も含まれており、浅原氏のコレクションと合わせると日本有数の充実したコレクションになるという。これら数々の収蔵品はさいたま市の施設で短期間に公開されてきたが、貴重な収蔵品が常時展示される試みはこれまであまりみられなかった。岩槻人形会館(仮称)の建設計画は、伝統産業でもある人形文化の調査・研究、継承といった役割を明確に示すべく、名称を「岩槻人形博物館(仮称)」に改めて、旧岩槻区役所跡地に平成32年の開館を目指し進行している。地域にとって活きた施設とするためには住民の積極的な関わりが求められるほか、施設の活動を支援する市民組織が立ち上がり、活用を考える動きも必要となる。岩槻人形博物館(仮称)の開館を見据えたこれからの具体的な活動が望まれている。尚、さいたま市では浅原氏のコレクション紹介も交えた、講演会が予定されている。
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