家には飼っている猫がいるし、夫も家に入れてまで面倒を見るには反対で、私もその気はなかった。だから、猫が来ても餌をあげるだけだった。それから、毎日餌をあげる日は続いた。たとえそれが雨の降りしきる日でも。段々と庭にいる時間が長くなっていた。家の中には入れられないけれど、できることはあるはずだった。段ボールで住処を作ったがそれだけで上手くいくほど簡単ではなかった。いなくなって三日経った日。私は落ち着かなくなっていて、近所を探し回っていた。陽射しが強く、夏が間近に迫っていた。そして私は探しているのによく似た猫に遭遇した。「猫」を探し回って初めて野良猫の存在に気づいた。問題意識が頭の中をちらついたけれど、今はそれどころではなかった。車に轢かれたのか、餓死したのか、何か暴力を受けたのか、そんな不安も、突然終わった。翌日、何事もなくいつものように住処にいた。どこにいたのか、安心はしたけれど、この状態がいいとは思っていなかった。そして一か月、猫は再び姿を消した。お腹が膨らんでいたので、どこかで産んだのだろうと思ったし、また戻ってくるだろうとどこかで信じていたから、前回ほど不安にはならかった。ただ、心配する日々は続いた。住処の中から仔猫の鳴き声がそれも重なって聞こえてきたとき、「戻ってきたんだな」と思ったし、「無事に生んだんだな」と思った。仔猫は4匹だった。新しい問題も親子は連れてきた。
〜後編へ続く〜
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