今回は大光寺のボダイジュ(菩提樹)です。中国原産のシナノキ属の落葉高木で、長宮の大光寺の山門を入った左側墓地の手前にあり、地上1mの所で2本の幹に別れ、幹周りは太い方が3・33m、細い方が1・40mの巨木です。太い方の幹は地上1・5mの所でさらに2本に分かれていましたが、数年前に大風で1本が折れてしまったそうです。私はこの木の樹齢を250〜300年と推定しました。ボダイジュはお寺によく植えられている木です。これはお釈迦様がこの木の下で悟りを開いたからで、仏教の三大聖樹と言われる木の一つです。他の二つは、お釈迦様が生まれた所にあった無憂樹(ムユウジュ)と、亡くなった所にあった沙羅双樹(サラソウジュ)です。ところが、日本のボダイジュは、お釈迦様が悟りを開いた木とは違う種類なのです。釈迦の教えがインドから中国にもたらされた時、中国ではインドよりも気温が低くクワ科常緑高木のインドボダイジュが育たないため、葉の形が良く似たシナノキ属の木が代わりに寺院に植えられました。これが本種です。ボダイジュの名前の由来は、インドの古代語でサンスクリット語の「Bodhi(悟り)の木」の「ボーディ」を漢字の「菩提」に置き換えたもので「悟りの木」という意味です。シナノキ属は、苞葉と呼ばれる靴ベラのような葉の途中から花がぶら下がる、おもしろい形をしています。この苞葉は種子が落下する際、種子を遠くに飛ばすためのヘリコプターの羽のような役割も担っているようです。【森林インストラクター・桂幸一】
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