ジャズと教育 「九十一歳が奏でるアドリブ」

茶屋のおかみ坂本寿美子さん

 先日、長瀞にある宝登山に行きました。目当ては奥宮前にある小さなお茶屋さんです。
 お茶屋さんを経営している親子と親しくなり、毎回楽しい時間を過ごしていましたが、今回は三味線と歌を披露してもらいました。
東京音頭のメロディーに合わせて色々な歌詞を付けて歌います。
甘酒の歌になったり、○○さんの歌になったりとその場その場に合わせた歌詞をつけて節回しも変えながら歌ってくれたのです。これは完全にジャズです。
 彼女はなんと九十一歳。歳など感じさせない美しく声量のある歌声に驚く私と妻に「毎日神様に恋しているのよ。」と奥宮前のお茶屋さんらしい秘訣を教えてくれました。
日本のジャズシーンを牽引している渡辺貞夫氏も九十歳。
ナベサダに勝るとも劣らぬ演奏を聴かせて下さいました。
 学校には「音楽」の時間があります。歌ったり、楽器を演奏したりという活動に加えて「音楽づくり」として即興的に表現すること、つまりアドリブを行う内容も入っています。
その授業を見させてもらいましたが、子供たちは本当に楽しく学んでいました。
その場に合わせた音や歌詞を付けて表現することは表現する方にとっても聴く方にとっても楽しいものなのです。そういえば彼女も楽し気に歌っています。
 「いつも笑っているから皺だらけ!でもこれは年輪なのよ。だてについている訳じゃないからね。」 と笑いながらおしゃっていました。
 今度、来る時には笛と太鼓を持ってきて一緒に演奏しましょうと言ってお茶屋さんを後にしました。
宝登山神社の奥宮での奉納演奏。これはただ事ではありません。
私にとってナベサダと並ぶ大先輩との共演です。しっかり練習しなければ。
【「共栄大学客員教授・岩槻Jazz 代表」今村信哉】

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