岩槻出身の画伯 田中 保に関する講演会に参加して

 埼玉県立近代美術館では今春「コレクションの舞台裏」という企画展が開かれた。
当館の収蔵作品数は約4,200点で、個々の作品は時代と共に新しい解釈や捉え方が変化するそうである。
なかなか展示の機会がない秀作にも今回光を当て、学芸員の調査研究成果を基に7つの試みに分類し展示されていた。

 初めて来館する仲間と共に久々に当館を訪ねたので、まず企画展を短時間で回り、予約していたスライド・トークを受講した。
そこで企画展の代表作の説明や簡単なディスカッションを経て作品への理解を深めた。
その後、作品を眺めると全く違った世界が観えることに全員が驚いた。
 この日は7つのテーマの一つ、田中保・アトトリエへの招待から「田中保研究の現在地」と題する講演会があった。
講師は4年前、田中保回顧展を担当した学芸員で、パリの「保の旧アトリエ」で新たな書簡や写真等の発見があり、昨年渡仏し現地調査をした。
帰国後の追跡調査を経て新事実が紹介された。

  • アトリエの様子が鮮明になり、田中夫妻のツーショット写真も出現
  • シアトル時代の困窮の模様が書簡に具に綴られていた。

 保の母は成人前に親元を離れ異国で生活する息子を常に心配し続け、一方田中家の兄弟は実に仲が好いことが数種の書簡で判った。
岩槻出身の「田中保」画伯の本家は七男一氏が継ぎ、芳林寺の田中家の墓石には毎年彼岸の度、必ず供花されている。

 姪の幸子さんや末弟の嫁ともさんは他界されているが、二方と親交のあった田中保研究家TS氏、MN氏(共に故人)が蒐集した史料は、唯一無二のものとして残っている。【島田祥博】

画像提供:エレーヌ&クロード・ガラシュ寄付基金

Courtesy of Hélène and Claude Garache Endowment Fund.

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