挑戦者 鈴木雄大 26

パタゴニアのポインセノットにトライ (2)

(先月の続きから。)フランスからアルゼンチンまでヒッチハイクしてきたエンゾと、パタゴニアの名峰ポインセノットを登る。

岩と雪がミックスする壁にも予想通り、雪が積もり、普段よりは明らかに時間がかかりそうだ。
日本のよくある雪壁ルートを3本ほど登ったであろうかという地点で、エンゾのリードが急激に遅くなり、「雪が多くて疲れた」と。
急峻な壁ではあるが、足がズボズボと埋まっていく。

数時間かけ、苦労してルートの半分を登ると、ここで一気に登攀の性質が変わり、雪のない岩ルートとなる。

ここからはセロトーレ側からの強風が吹き付け、傾斜も増すからか、雪はほとんど飛ばされている。
60mロープでは長すぎるので、少し体に巻いて、2人で一本のロープに結ばり、同時に駆け上がる。

早く登って明るいうちにできるだけ降り、風が吹き荒れる前に懸垂下降を終わらせたい。

ルートがジグザグしていて、ルート探しに苦戦しつつも、先々まで見て、躊躇なく登っていく。
簡単なところは体を確保する支点も省き、スピード重視。ここでは支点なしで登るリスクより、悪天に捕まるリスクの方が大きいのだ。 

もうだいぶ長いこと停まらずに登っている。
遠くから眺めるよりも長く感じられるロックピッチを2〜3時間登ると、突如としてとても狭い山頂に突き上げた。
針のように尖った畳一枚ほどの山頂だ。
そして、反対側にドカッと現れたフィッツロイの迫力がすごい。

分かりづらい懸垂下降に難儀しながらも、明るいうちに雪の急斜面に合流、そして氷河まで降りられた。

帰りもズボズボと雪に埋まりながら、24時、置いていたテント地に戻ってきた。

朝、一緒に起きたギリシャチームはフィッツロイとポインセノットの中間に聳えるラ・シジャに無事登れたようだ。

1日だけの好天をうまく使って、鋭く聳える山に登れ、充実の21時間ノンストップ行動だった。

翌日、爆睡していると、テントが引き裂かれるのではないかという強風に叩き起こされ、這うようにトレス湖へと下山した。

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