挑戦者 鈴木雄大-24 人跡未踏の氷河でクライミング

パキスタン・ハショーピーク、登攀3日目。
起きてみると、今日も快晴。あとは落ち着いて氷雪壁を登り切れば登頂出来ることは分かっている。

60メートルのロープを5本分程度、ひたすら同じ動きを繰り返し、脹脛が痛くなってきたところで、前方の視界が開けてきた。
数年前に歩いたバルトロ氷河にK2やガッシャーブルムといった名峰が無数に広がっていた。
これ以上ない快晴無風の素晴らしいコンディションで、6,000メートルの山頂に立つことができた。
あまりにも眺めが良いので、30分ほどゆっくりした後、下降に取り掛かる。テントを置いてきた地点までは、氷もしっかりと固っていて、その氷に穴を空けてロープをかけ、ロープ伝いにスムーズに降りられたが、そこからが大変だった。

ある程度は予想していたものの、下降に使う氷河の崩壊が凄まじい。
中には数日前の降雪などによって隠れているものも多く、膝くらいまで何回か落ちながらも下降路を開拓していく。
こういった時の安心感はやはり1人よりも2人、2人より3人で良かったとチームの有り難みを心底感じる、かなりリスキーな氷河の下降となった。
時間をかけながらも慎重に前進ベースキャンプまで歩き切り、久しぶりに腹一杯飯を食べられる喜びに浸り、好きなだけ水を飲んだ。

登り終えて壁を見上げると、苦労して辿ってきた軌跡が手に取るように分かり、その分壁が大きく見えた気がした。
パキスタンの人跡未踏の氷河で、登る山を手探りで見つけ出し、標高差900メートル近い未踏の壁を登る。
登攀距離やグレードで言えば、大したことないような気もするが、やはりそこには登った者にしか分からない不安や楽しさ、冒険的要素が詰まっており、人生でも指折りの、素晴らしく充実したクライミングであった。
さて次はどこへ行こうか。

※QRコードからこれまでの活動記録が見られます。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

無料イラスト素材【イラストAC】

アーカイブ

お勧め記事

  1. AIに 聞いて答える 癖がつき 堀江 恵 飽きもせず スマホに夢中 世界中 岩井 るり 雲海…
  2. たちまちに 荒野となりたる 畑には 勝者のごとく 野薊の満つ 内池 リヱ 帯広…
  3. イベント情報
    「児玉南柯・遷喬館に待つある100の宝物~児玉南柯生誕280年~」 関連講座 【内 容】 「児玉南…
  4. 【日 時】11月3日(火・祝)       11:00 ~ 【会 場】鹿室1466 付近の畑  …
ページ上部へ戻る