猫の話〜後編〜 作・たかや

らうんじ【岩槻】特別編集ページtamakoti

私は隣の家を伺う。
猫が隣の家に行って糞をしてしまい、怒鳴り込んでくることが度重なっていた。
具体的に解決しないといけないと限界だと私も夫も思っていた。
三段ゲージを買い、組み立て、餌を置き、親子に慣れてもらう。
保護しようと思うなら親子同時でないと意味がない。
餌をあげているとはいえ、何も関係などできていない。
私は彼らにとっては見知らぬ他人のようなものだ。
野良猫は人に慣れないのだ。
今日こそ保護しようと思ったその日、餌を置いて、入ってきたのは、親子ではなく、いなくなって探し回った時に見かけた、あの野良猫だった。
お前か、と思った。
でも、お前じゃないんだ、とも思った。
飼う数には限界がある。
親子の入ったゲージを家の中に運ぶが、触ることを許してはくれない。
母親の肉球はぼろぼろになっていた。
家の中、ゲージで隔たった関係だったが、一室を猫親子用にして、仔猫はわりとすぐになついた。
四匹のうちの二匹は一か月後に里親に引き取られた。
二年。親猫が私になつくまでにかかった年月。
猫が人を信じるまでに、かかった時間。
それが長いのか短いのか、分からない。
手を伸ばせば威嚇して引っ掻いてきた猫は、今は私の足元にすり寄ってくる。
私が撫でる手をそのまま、受け入れて。
後日談だが、のちにお前じゃない、と追い出した猫も、今は家にいる。
(了)

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