子どもの頃。5円玉、10円玉を握りしめて走っていた。紙芝居屋さんが来たからだ。水あめをなめながら見る紙芝居は楽しかった―。最近、そう耳にして、とても懐かしい思いを抱いた。近年はあまり見かけなくなったが、浦和美園地区にお住まいの鈴木さん(93歳)は、紙芝居のスタンドを作り、若い頃から読み聞かせをしていた。ただ、年季の入ったスタンドを手放すことにした。年齢を重ねて「誰かに使っていただけたら」という思いで声をかけ、ある保育園に紙芝居のスタンドを使っていただくことにした。保育園側は「ガッチリしていて安定感があります」と大喜びだったという。昔から親しまれてきた紙芝居は、絵を一枚ずつ出して見せつつ、演じ手が語りながら物語を進めていくお芝居。世界に類を見ない日本の芸能だ。時代を超えてスタンドを使っていただけるのは、うれしいことだろう。【増田啓子】
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