「ロボット兄ちゃん」 新井俊一

 大学から団地に帰ると、冷凍庫にあったはずのチョコマメアンズバーがなくなっていた。
 さては兄ちゃん、帰ってきてるな~。
台所の珠のれんから半分だけ顔を出した兄ちゃん。
アンズバーをかじっている。
「シュンおかえり~」やっぱり帰ってたな。
「兄ちゃん、おかえり」兄ちゃんはロボットだった。
兄ちゃんは家の家電製品に変形しては、母ちゃんを楽にさせていた。
家にいるぶんにはいいんだけど、工場に就職する事になってからは大変だったんだ。
物がうまく運べない、「言われたことしかできないのか!」と、上司とそりが合わなくて散々だった。
工場をクビになってから、国道沿いのパチンコ屋に入り浸るようになってしまった。

 ロボットがパチンコをする姿が珍しいのかテレビ局の夕方のニュースがパチンコ屋に取材にきた。
近所の団地の人たちがあの子働いてないらしいよ、と噂をするようになってしまって、兄ちゃん相当こたえたのか部屋に引きこもるようになってしまった。
家電にも変形しなくなった。
そんな兄ちゃんと逆行するように、僕は就職活動をしていた。
 岩月大学の新井俊太と申します。
(面接官)「どうぞおかけください」
(10分後…)あ~緊張した。兄ちゃん僕、就職してみせるよ!見ててね。
(面接官)「岩月大学の彼、AIが搭載されているらしいですよ。
(面接官B)「ほう、ぜひわが社に欲しいロボットですなぁ」

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