開智中学高等学校における本格的なボランティア活動は東日本大震災後に始まりました。被災地支援として毎年夏休みに岩手県の大船渡市を訪問し、地元の伝統芸能の保存会と交流し夏祭りに参加、会場の設営撤収のお手伝いを5年間行ってきました。しかしコロナ禍の影響で訪問が出来なくなり、代わりに2021年から本校の地元である岩槻でボランティア活動を新たに始めました。最初に学校に一番近い徳力地区や諏訪地区の住民や自治会の方々とお話しさせていただき、「地域の困りごと」をお伺いすることから始めました。その中で、日本社会が抱える高齢化問題の波が、学校周辺の地区にも暗い影を落としているのを実感しました。まずは地域の困りごとの中から、中高生でもできることから始めようと考え、地域清掃と空き地や公園の除草作業から始めました。その後、除草した休耕地をお借りし、地域の方と交流するための畑にして継続的に管理することにしました。自治会の見識者の指導を仰ぎながら土作りから始め、季節毎に作物を育て、収穫したものを地域の方々に配布して喜んでもらっています。事情あって現在ではその休耕地はお返しし、代わりに本校所有の土地を新たに開墾して、地域交流のための畑、2代目「開智農園」を運用しています。これらの活動は本校生徒だけで実現できたものではありません。休耕地は農家出身のおばあちゃんのご好意でお借りし、2代目「開智農園」の開墾時には地元の方が重機を動かして荒地の開墾を手伝っていただき、農具を保管する本格的な倉庫は、建築の知識をもった方々が知恵を絞って、本校の廃材を再利用して立てていただきました。これまでには考えられないくらいの地域の方々との交流と、「協力の輪」が広がっています。とても有難いことで、感謝しきれません。現在ではこの地域ボランティア活動は2年半が経過し、様々な活動に発展しています。これらの活動を持続的に行うための学内の組織化も進め、ボランティア委員会とサッカー部から始まった地域ボランティアは、現在では美化委員会、ザ・グリーン(校内緑化)委員会とも協力し、毎週1回の3委員会幹部による定例ミーティングで様々な共同プロジェクトを作って協働しています。「開智お助け隊」では、年末の大掃除の時期に高齢者のお宅を訪問し、窓ふきやカーテン洗濯のお手伝いをしています。「町おこしプロジェクト」では、岩槻にある料亭『ほてい家』さんにお邪魔して、正月飾りの餅花作りを女将さんのご指導の元、五節句の文化を学びながら行いました。また岩槻人形共同組合の多大なご支援をいただき、区内人形店からご提供いただきました岩槻人形を校内に常設展示して、より多くの生徒や来校者に「人形の町岩槻」を知ってもらう機会にしています。東岩槻と徳力のこども食堂には「開智農園」で収穫した作物を食材として提供させていただき、今後も継続した支援と交流を計画しています。これらの活動を通して、参加している生徒達はこれまで知らなかった岩槻の文化や歴史を学ぶだけでなく、教科書では学べない、社会で必要なこと、生きていく上で大切なことを体験を通して学ばせてもらっています。私も活動に参加しながら、学校では出来ない学びを地域の方々の協力で行えていることを、生徒達の成長からも実感しています。2〜3月は、春に向けた土作りや新たなプロジェクトをスタートさせる準備を行っています。また地域の皆様と「心に綺麗な花を咲かせられる」元気な活動にしていきたいと思います。地域の方々、今後ともご指導とご協力のほど宜しくお願い致します!【開智中学高等学校教諭・手塚】
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