岩槻資料館だより №102  岩槻郷土資料館企画展

松木遺跡土偶

「さいたま市の土偶たち」

岩槻郷土資料館では、今年度の企画展として「さいたま市の土偶たち」を開催しています。
昨年度は県内の「ミミズク土偶」に焦点をあて、縄文時代後期・晩期に特徴的なミミズク土偶を展示しました。
今回は、さいたま市内でみつかった土偶や関連する資料を集め、その様々な姿をみてきます。

別所遺跡土偶

土偶は、縄文人が女性をイメージした土製の人形であり、三重県粥見井尻遺跡の土偶は今からおよそ一二〇〇〇年前の縄文時代草創期にさかのぼるものといわれています。
縄文時代、各地で作られ、特に後期以降多く見ることができます。
さいたま市内では、全国的にも数の少ない、縄文時代早期の中葉や前期の土偶などの他、各時期にわたる土偶がみつかっています。

椚谷遺跡土偶

展示資料のいくつかを紹介しましょう。
西区西大宮バイパス№4遺跡の土偶は全国的にも類例の少ない縄文時代早期中葉のものです。
上半部を欠損していますが、バイオリン形となるものと思われます。
緑区松木遺跡の土偶は、頭部・手足の表現はありませんが、全長二・六㎝程で、日本一小さな土偶ともいわれています。
時期はその特徴などから縄文時代前期後葉と考えられています。
南区別所遺跡の土偶は左足の部分で小形ですが、「縄文のビーナス」と呼ばれる国宝の長野県茅野市棚畑遺跡のものとフォルムがよく似ています。
緑区椚谷遺跡の土偶は、筒形土偶と呼ばれ、筒状の体部に楕円形の顔が付けられています。
縄文時代後期のものです。
昨年度展示できなかった岩槻区の真福寺貝塚のミミズク土偶を今回、展示しています。

真福寺貝塚土偶

昨年度の展示で、緑区馬場小室山遺跡と岩槻区裏慈恩寺遺跡の土偶が、よく似た形態、文様をもっていることから「双子の土偶」として展示しました。今回、さらに千葉県君津市三直貝塚のミミズク土偶もよく似た形態、文様をもっていることわかりました。
三点とも頭部を中心とした破片で、全体像はわかりませんが、後頭部の文様や顔などの表現はよく似ています。
残念ながら三直貝塚の土偶は、写真展示ですが、三つの土偶を見比べてみてください。

この他、人面を表した土器の把手、土版、また人体文土器と呼ばれる人間が手足を拡げているような姿を抽象的に描いた土器なども展示しています。
昨年度展示したミミズク土偶も一部展示していますが、ぜひ市内の様々な土偶をご覧いただきたいと思います

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