第53稿:老いるということ

 生老病死は、万民に等しく訪れる避けようのない現世の苦しみ。
天皇陛下も人民も、大統領もこじきもこの苦しみから逃れることはできません。

 ところが科学の進歩は、この老いについて様々な要因を特定しつつあります。
新陳代謝を思い起こしてください。
古い細胞が死滅すると、残っている健康な細胞が分裂し、新しい細胞を増やしていく。
こうして皮膚は内側から外側へ新しい細胞に入れ替わっていくわけです。
生まれたばかりの赤ん坊は、一年後には倍以上の大きさになります。
それだけ新しい細胞を作り出す力が旺盛だということです。
逆に、高齢になると一度傷ができるとなかなか治らないとか、日に焼けるとしみが残るとか、皆様もご経験ありますよね?
 代謝は高齢になると落ちます。

 この細胞の分裂、止まってしまえばその個体は死んでいきます。
この細胞の分裂をこのタイミングで止めるということは、遺伝子情報に組み込まれていることがわかっています。
いくつかそういうサインを示すゲノムも見つかっています。
ですから、人為的にその細胞分裂を止めるゲノムを取り除いてしまえば、細胞分裂は止まらず続くわけです。
よって、生き続けることができる。

 言葉で書くと簡単そうですが、一つの細胞の遺伝子を一部取り除くことだって、非常に高い技術が要る上に、全身にある37兆個もの細胞にすべてその処置をすることは至難の業ですね。
ゆえに、実際に寿命を延ばすために使える技術とするためには、まだまだ時間が必要です。
けれども、どうして死ぬのかというところの追及がここまで到達している今の科学。
人の寿命が120歳に延びるのは、遠くないかもしれません。

 皆様、覚悟を決めましょう! 120歳まであと何年ありますか?
 今の科学の進歩を考えると、天寿を全うするとなるとその年数を生きねばならないということです。
これからの数十年、どのように生きていきたいか。今考える時です。
(次号へ続く)【愛風・久毛】

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