The Amathing Bad Powell バド・パウエル【ジャズ壱】

今月は、ブルーノート時代のバド・パウエルを紹介します。
おそらくバド・パウエルはモダン・ピアノ史上セロニアス・モンクと並んで最も傑出したピアニストであろう。
彼のプレイはよく天才と狂気のギリギリの世界にあると形容される。
たしかにそのタッチの過激さ、フレーズにおける近寄りがたいほどのオリジナリティ、鬼気迫る圧倒的なまでの気迫などに、他の追随を許さぬ、凡人の及ばぬ至高の芸術性が示されている。
彼がブルノートへ最初にレコーディングを行ったのは49年8月8日のことだった。
以後51、53年と録音を重ねていく。
とりわけ49年の吹き込みは絶頂期を捉えたものとしてジャズ史上に残る大傑作となり、その名声を決定的なものにした。
彼にとって不幸だったことは、精神的な病いに生涯を通して取りつかれたことだ。
45年頃から幾度も入退院を繰り返し、50年代に入るとますます頻繁になっていった。
したがってブルーノートに吹き込みを残していた時代は常にそうした不安感と危機感が彼の心に内在していたのである。
しかしその異様な精神状態の極限下に置かれていたからこそ、彼はいくつかの傑作を逆に世に残すことができたのかもしれない。
ともあれ47年から49年までがピアニストとして最も充実していた時期であったことは確実だ。
その時代の「ザ・アメイジング・バド・パウエル第一集」はモダン・ピアノ史上最右翼挙げられるほど偉大な作品。
特に冒頭に聴く三つの「ウン・ポコ・ローコ」は、パウエルが即興演奏においていかにひらめきに満ちた天才であったかを克明に記録している。
全11曲、どの演奏からも極めて高い緊張感と鬼気迫るジャズ・スピリットが認められ、圧倒される。
この演奏を目の当たりに見たミュージシャン達が模倣していく。

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