挑戦者 鈴区雄大-22 パキスタン遠征登山報告(5)

 登攀2日目。今日は5500m地点から出発する。
3人では横になれないが、岩の淵の傾いたスペースと合わせ、何とか横になって寝ることができた。
岩に挟まれながら、朝起きるとあちこちが痛いが、何となく少し回復した感じもする。
気合を入れて、複雑な岩の稜線を手足を使い、クライミングで超えていく。
山が大きすぎて、スケール感に惑わされ、ルート選定に苦労するが、五感をフル活用してロープを伸ばしていった。
やがて、5700m付近で岩が一気に脆くなり、行き詰まる。
さてどうしよう。
あたりを見回すと唯一アイスクライミングで超えていけそうな谷を発見。
岩と岩に挟まれた斜度50度程度の登路だ。
ここが繋がっていれば、難しい部分は全て越えることになる。
足元の装備をブーツとクランポン(登山用の爪がついた道具)に履き替え、高所で息を切らしながら雪壁を登っていく。
すると、30分ほどで視界が開け、今まで見えなかった山の反対側を見渡すことができた。
もう夕方が迫っている。
計画外のもう一泊が必須な状況だ。また、(雪山では雪を溶かして飲み水を確保するのだが、)僕たちは軽量化のため、ガス缶を一つしか持ってなかった。

非常に幸運なことに、近くの壁に岩から垂れ落ちる雪解け水が流れていたので、汲むことができた。
ガスを節約して、明日3日目に賭ける。
山頂らしきものはもう見えており、登頂の希望を胸に、ここ5800m地点で寝袋に入る。
深夜2時すぎくらいからは一睡もできないほど凍え、冷えないよう足をずっと動かしながら太陽を待っていた。(つづく) 

※QRコードからこれまでの活動記録が見られます。
(撮影・鈴木)

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