老いるということ (2)

 尊厳死という考え方も出てきた昨今。
点滴やら胃瘻やら尿袋やら人工呼吸器やら、いろいろなものをつなげて、本人の意思確認はできなくても身体の暖かさを保つ延命技術もあがっています。
ゆえに、自分がそうなったら延ばさなくていいから、自然に死なせてほしいとおっしゃる方も増えてきました。

 超高齢社会に突入している日本。
日本の高齢者は、世界のトップを走っているわけですので、どのように生きていくかを、私も含め後輩たちが固唾を飲んで見守っているような状況です。
未だかつて地球上に、これだけ多くの高齢者が生存していた記録はありません。
モデルや事例が無い中、手探りでよりよい生きざまを探る先駆者であるわけです。

 高齢期になると若い頃と比べて、筋力も持久力も、心肺機能も、記憶力も反応速度も落ちます。
落ちていくものを数え上げればいくつもあります。
皮膚の弾力も、はりつやも、髪の毛の量も質も。
けれども、上がっていくものもあるそうですよ。
さて、なんだと思いますか?

 それは、統合力だそうです。
学生時分に学びました。記憶力も反応速度も、若い頃には遠く及ばなくなりますが、どんなに努力を積んでも時間を飛び越えることはできませんから、高齢期に至るまで生き続けてきたその経験の蓄積は、何物にも代えられず。
その経験を統合して、より広く深く物事を考え、統合していく力は、死ぬ直前まで、増えていくものだと学びました。

 だとするならば、高齢者の存在意義は、若者では一気に到達することができない、その統合力の発揮にあるのではないでしょうか。
昔話の姥捨て山の主人公のお母さんのように、その経験から来る知恵は、何物にも代えがたい。
人生の大先輩たちの存在意義が、老いの賜物として、世に広く認められるようになりますことを願うものです。
高齢期の人たちの姿が幸せそうであるならば、後に続く世代の人たちも、「年は取りたくないね」とは、言わなくなるはずです。ね?
 そうではありませんか?(次号へ続く)

【愛風・久毛】 

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