先生とひさしが守る子どもの命

6月19日に火災が発生した東京都北区の滝野川第三小学校。
音楽室にいた児童が校舎のひさしに逃げて助かるという学校火災の顛末を、記者会見の映像などから振り返る。
午前10時50分:焦げ臭いにおいに児童が気づく。

10時55分:火災報知器が作動し、校内放送で避難指示。

10時58分:消防に119番通報。教員3人が火元の音楽準備室で初期消火を試みたものの、火の勢いが強く避難誘導へ切り替え。
隣の音楽室では5年2組の児童26名が音楽の授業中。
廊下には煙が充満し、階段は防火扉が閉まっていた。
教員は階段を使っての避難は無理と判断し、斜降式救助袋の使用を試みたがこちらも困難と判断。
窓からひさしへの避難に切り替え、生徒を窓からひさしの上に一人一人抱きかかえて誘導。
その際、児童一人が落下し骨折。
助けようとした教員も落下し骨盤骨折の重傷。
校舎の反対側のひさしにも児童3名が避難。

11時15分:二次避難のため、5年2組を除く児童319人が飛鳥山公園へ避難。
12時10分:保護者へ児童引き渡しの連絡を専用アプリで配信。

13時45分:鎮火。
15時1分:救急搬送された児童を除き、児童の引き渡しを完了。

 記者会見で学校側は、54センチの幅しかないひさしの上に逃げたことが「命を守る唯一の方法だった」と表明。校長は、「年間10回ほどの避難訓練を繰り返しており、子どもたちが自分の命を守る『おかしもち』を徹底して教えていた。」と発言。
※「おさない。かけない。しゃべらない。もどらない。近づかない。」

その後、音楽準備室で洗濯物を乾燥させていたことが判明。
警視庁は、音楽教諭を重要参考人とした失火容疑の捜査を開始した。

さいたま市内の小中学校でも避難訓練は繰り返されているが、防火扉が閉まった状態での訓練や、上の階から下の階へ階段以外で降りる実践的な訓練などは行われていない。
一度だけ斜降式救助袋を使って4階から1階へ降りる訓練を見学したことがあるが、その際は高校の柔道部員が柔道着を着て降下していた。
今回のように半袖短パンなどの衣類では、摩擦でやけどをしてしまう危険もあるだろう。

今回は、まず教員が想定外の事態に冷静に対応したこと。
児童が5年生と大きかったこと。
雨などの悪天候でなかったことにより被害を最小限にとどめることができた。
さいたま市でも、校舎の両端部分で火災が発生し階段が避難に使えない場合などにどう対処するのか、学校ごとの早急な対策が必要だろう。

【さいたま市防災アドバイザー 加倉井誠】

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